
Chaos Vantage 3.4.0が登場
Chaosは2026年9月リアルタイムレイトレーシングツール「Chaos Vantage 3.4.0」をリリースしました。
今回のアップデートでは、OpenPBRやVRScans、V-Ray Enmesh、V-Ray Curvatureなど、V-Rayで使用されるマテリアルやテクスチャへの対応を拡充。さらに、MaterialX、カメラ、Scene State、Fire & Smokeシミュレーション、DLSS 4.5などにも対応しています。
Vantageは、V-Rayで作成したシーンを100%レイトレーシングによるリアルタイム環境で確認できるツールです。Live Linkを利用すれば、対応するDCC上で行った変更をVantageへリアルタイムに反映しながら、ライティングやマテリアル、カメラなどを確認できます。
今回の3.4.0では、特にV-Rayで構築したシーンを、より忠実にVantageへ持ち込んで確認できる環境が強化されています。
Chaos Vantageとは?
Chaos Vantageは、V-Rayシーンの探索やプレゼンテーションをリアルタイムで行うためのツールです。
V-Rayで作成した.vrsceneをVantageへ読み込み、シーンのライティング、マテリアル、カメラ、ジオメトリなどをリアルタイムに確認できます。V-Rayシーンをリアルタイムに表示するため、建築ビジュアライゼーション、プロダクトビジュアライゼーション、映像制作などで、制作途中の確認やプリビズ、デザインレビュー、クライアントへのプレゼンテーションなどに活用できます。
また、Live Linkを使えば、3ds Max、Maya、SketchUp、Rhino、Revit、Cinema 4DなどのDCCで行った変更をVantageへ反映できます。制作ツールとリアルタイムレンダリング環境を行き来しながら、シーンの仕上がりを確認できるのが特徴です。
Chaos Vantage 3.4.0の主なアップデート
OpenPBRやVRScansなどマテリアル対応を強化
今回のアップデートで特に注目したいのが、V-Ray関連のマテリアルやテクスチャへの対応強化です。
Vantage 3.4.0では、以下の機能に対応しました。
-
OpenPBR Material
-
VRScans Materials
-
V-Ray Enmesh
-
V-Ray Curvature texture
-
V-Ray Distance texture(一部対応)
-
VRayMtlのAnisotropy
-
VRayMtlのThin Film
-
VRayMtlのSheen
-
VRayMtlのDispersion
-
V-RayライトのLight Decayオプション
これにより、V-Ray側で構築したマテリアル表現をVantageで確認する際の互換性がさらに向上しています。
特にVRScansは、実物の素材をスキャンして作成されたマテリアルを扱うための技術です。金属や自動車塗装、布、レザーなど、実物の質感を重視するプロジェクトでは、Vantageでのリアルタイム確認にも活用しやすくなります。
また、VRayMtlではAnisotropy、Thin Film、Sheen、Dispersionといったパラメータに対応。金属表面の方向性を持った反射、薄膜による干渉色、布や素材の柔らかな反射、光の分散など、より幅広いマテリアル表現をVantageで扱えるようになりました。
V-Ray EnmeshやCurvature、Distanceにも対応
V-Ray Enmeshは、オブジェクト表面にジオメトリを繰り返し配置することで、細かなディテールを表現するための機能です。
今回のVantage 3.4.0ではV-Ray Enmeshに対応したほか、V-Ray Curvature textureとV-Ray Distance textureの一部にも対応しました。これにより、V-Rayで構築された複雑なマテリアルやディテールを、リアルタイム環境で確認する際の対応範囲が広がっています。
建築やプロダクトビジュアライゼーションでは、素材の細かなディテールや表面表現が最終イメージを大きく左右します。V-Rayで設定した質感をVantage上でも確認しやすくなることで、制作途中のルックデベロップメントやデザインレビューにも活用できます。
V-Ray TriplanarとMaterialXを強化
V-Ray Triplanarについても機能が拡張され、各軸・各方向に異なるテクスチャを使用できるようになりました。
さらに、MaterialXのColor Space Transform、Normal Map、Bumpノードをネイティブにサポート。
MaterialXは、異なるDCCやレンダリング環境の間でマテリアル情報を扱うためのオープンスタンダードです。VantageはすでにUSDやMaterialXをサポートしており、今回の対応拡張によって、より柔軟なマテリアルワークフローに対応しています。
Vantage上でBasic Meshを作成可能に
Vantage 3.4.0では、Vantage上でBasic Meshを作成できるようになりました。
対応するプリミティブは、
-
Plane
-
Box
-
Sphere
-
Disc
-
Cylinder
-
Cone
です。
それぞれのパラメータを編集できるため、簡単なジオメトリを追加したい場合に、必ずしもDCCへ戻る必要がなくなります。
大規模なモデリングをVantageだけで行うための機能ではありませんが、シーン内に簡単な形状を追加したり、プレゼンテーション用の調整を行ったりする際に便利な機能です。
Depth of Fieldなどカメラ機能を強化
カメラのDepth of Field(被写界深度)についても、Focus Modeが拡張されました。
新たに、
-
Fixed distance
-
Fixed point
-
Center view
-
Object
の4つのフォーカス方法を利用できます。
さらに、DCCからアニメーションするCamera FOV、Zoom、Orthographic WidthをVantageへ受け取れるようになりました。
これにより、DCC側で設定したカメラアニメーションをVantageで確認する際の表現力が向上。映像制作やプリビズ、建築アニメーションなど、カメラワークを重視する用途でも使いやすくなっています。
Scene Stateでより多くの変更を保存可能に
VantageのScene Stateも強化されました。
今回から、Scene StateにFur、Scatter、Decalなどのオブジェクトプロパティに加えて、マテリアルプロパティも保存できるようになっています。
Scene Stateは、同じシーンから複数のバリエーションを作成・管理する場合に便利な機能です。
例えば建築ビジュアライゼーションでは、異なるマテリアルやライティング、オブジェクト構成を比較しながらクライアントに複数案を提示する、といった使い方が考えられます。
さらに今回、新しい「Scene Changes」と「Scene State Changes」ダイアログも追加されました。
これらのダイアログでは、オリジナルのシーンに対してどのような編集が行われたのかを一覧で確認できます。
制作途中でさまざまな調整を加えたシーンを管理する場合や、デザインレビューで変更内容を確認する場合にも役立つ機能です。
Fire & Smokeシミュレーションを強化
従来の「Fluid Simulator」は「Fire & Smoke」として機能が強化されました。
今回のアップデートでは、
-
Fire / Smoke用プリセット
-
Auto vortices scale
-
Interacting Fluid Bodiesを自動設定する機能
などが追加されています。
プリセットを利用することで、火や煙を使ったエフェクトのセットアップを簡略化できます。
Vantageは建築ビジュアライゼーションだけでなく、映像制作やプリビズにも利用されているため、こうしたシミュレーション機能の強化は、リアルタイムでエフェクトを確認したいユーザーにとってメリットがあります。
DLSS 4.5に対応
NVIDIA DLSSも4.5へアップデートされました。
Vantage 3.4.0ではDLSS 4.5に対応するとともに、Preferencesダイアログに新しいプリセット選択機能が追加されています。
Vantageではリアルタイムレイトレーシングによる高品質な表示を行うため、シーンの確認環境を用途に応じて調整することが重要です。今回のDLSS対応強化により、ユーザーが設定を選択する際の柔軟性が向上しています。
その他のアップデート
3.4.0では、このほかにも多数の改善が行われています。
Wet EffectsとGlobal Ambient OcclusionにはInclude / Exclude Object Listsが追加され、特定のオブジェクトをエフェクトの対象から含めたり除外したりできるようになりました。
また、テクスチャのメモリ使用量を抑えるための「Max Texture Resolution」オプション、新しいScene OutlinerのLayers View、Windows Toast Notificationsも追加されています。
Windows Toast Notificationsでは、アップデートの通知、レンダリングやシーケンスの完了、スナップショットの保存、警告やエラーなどをWindowsの通知として受け取れるようになりました。
V-RayユーザーにとってのVantage 3.4.0
今回のアップデートを一言でまとめるなら、V-Rayで構築したシーンをリアルタイム環境で確認するためのVantageの対応範囲がさらに広がったアップデートといえます。
OpenPBR、VRScans、Enmesh、Curvature、Distance、MaterialXなどへの対応によって、マテリアルやテクスチャに関する互換性が強化されました。
さらに、カメラ、Scene State、Basic Mesh、Fire & Smokeなどの機能も強化されています。
そのため、V-Rayでシーンを制作し、Vantageでリアルタイムに確認するというワークフローにおいて、単に「レンダリング結果を見る」だけでなく、シーンの調整やバリエーションの比較、デザインレビュー、プリビズ、プレゼンテーションまでVantageを活用しやすくなっています。
特に建築ビジュアライゼーションやプロダクトビジュアライゼーションでは、制作途中にライティングやマテリアル、カメラを変更し、その結果をすぐに確認できることがワークフロー上の大きなメリットになります。
Chaos Vantageの現在の提供形態
Chaosは2026年5月、Chaos Vantageの新規スタンドアロンサブスクリプションの販売を終了しています。
現在、新規ユーザーがVantageを利用する場合は、V-Ray CollectionまたはCorona Collectionの一部として利用する形となっています。
一方、既存のVantageスタンドアロンユーザーについては、現在のライセンスがこの変更によって直ちに無効になるわけではありません。Chaosによると、既存のスタンドアロンライセンスは継続して利用でき、条件を満たす場合は更新も可能です。ただし、サブスクリプションの有効期限が切れた場合には、スタンドアロン版として再アクティベートできない点に注意が必要です。
まとめ
Chaos Vantage 3.4.0では、OpenPBR、VRScans、V-Ray Enmesh、MaterialXなどへの対応をはじめ、V-Rayシーンをリアルタイムに扱うためのマテリアル・テクスチャ対応が大きく強化されました。
さらに、カメラ、Scene State、Basic Mesh、Fire & Smoke、DLSS 4.5などの機能も強化され、建築ビジュアライゼーションやプロダクトデザイン、映像制作におけるプリビズ、デザインレビュー、プレゼンテーションなど、リアルタイムでシーンを確認したいさまざまな用途に対応しています。
V-Rayで作成したシーンをリアルタイムに確認しながら、マテリアルやライティング、カメラ、シーンバリエーションを調整する環境として、Vantage 3.4.0はさらに実用性を高めています。
![]() |
Chaos V-Ray Collectionリアルタイムのスピードと効率で実現するフォトリアルな表現とストーリーテリング Chaos V-Ray Collectionには、V-Ray、Veras、Phoenix、Cosmos、Vantage、Animaがすべて含まれています。 さらに、22,000点以上の高品質な3Dアセット&マテリアル、4,000体以上のリアルな3D/4D Animaキャラクター、リアルに動く群衆や交通、Vantageによるリアルタイムのビューポートレンダリングに加え、Chaos AIで利用できる月1,500クレジットも含まれています。 |
![]() |
Chaos Corona Collectionリアルタイムのスピードと効率で実現するフォトリアルな表現とストーリーテリング Chaos Corona Collectionは、コンセプトの立案から最終レンダリングまで、建築デザインをビジュアルとして形にするために必要なすべてを提供します。 リアルタイムレンダリングやフォトリアルレンダリング、群衆・交通アニメーション、流体シミュレーションなどのツールを活用し、臨場感あふれる美しいビジュアルを制作できます。 主要なCADやDCCツールとのシームレスな連携により、設計意図を維持しながら、正確かつ効率的なビジュアライゼーションワークフローを実現します。 |



